小倉記念を勝ち、記念写真に納まるアールスターの杉山師（左）と長岡
◇ぱかぱか日和
盛岡競馬場で行われた10日のクラスターCは、JRA所属馬の出走するレースとしては久々の有観客となった。武豊騎手のマテラスカイが1着でゴールすると、マスクをして間隔をあけて座るファンから拍手が送られたらしい。
各スポーツが有観客試合を始めたが、とはいえまだキャパの1、2割程度。JRAは15日からの新潟での有観客を見送ったばかりだ。先週米国の薬品大手がワクチンを開発したというニュースが出たが、以前のように10万人を超えるファンでスタンドがあふれ返る日となると先は見えてこない。
競馬を含めた最近のスポーツは、プレーを見るというより応援しながら一緒に楽しむという娯楽になっている。音楽を流す、声をそろえるなど、さまざまな文化も生まれた。またサッカーの代表戦、競馬も日本ダービーや有馬記念など、会場に行って、みんなとワイワイ盛り上がりたいという、テーマパーク感覚で足を運ぶファンもいる。それも楽しいが、今は少し辛抱して、声援のない観戦に変えていく、それがみんなが早く生観戦できる近道のように思う。ゴルフのティーショットの瞬間のように息をのんで見守り、いいプレーやレースには、日本のスポーツではあまりなじみがないけど、スタンディングオベーションでたたえる。拍手でもウイルスを拡散させる可能性はあるだろうが、声援による飛沫よりはいいはずである。
競馬の場合、騎手や馬主と同じくらいファンも馬券で勝負している時があるため、勝てば雄叫びをあげたくなるし、負ければボヤきたくもなる。それでもテレビ観戦している今のうちに「習慣」を作っておこうと、私はこの日からレース後は拍手することを始めた。すると小倉記念で長岡騎手の重賞初勝利。少し自己陶酔も入っているかもしれないが、馬券は外れたのにいつものレース後とは違って温かい気持ちになれた。（作家）
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August 17, 2020 at 09:24AM
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レース後に「拍手」生観戦の近道に【本城雅人コラム】 - 中日スポーツ・東京中日スポーツ
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