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カート耐久レース「2020 K-TAI」参戦で、モータースポーツのすべてを味わった! (1/2) - ASCII.jp

2020年08月15日 15時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 写真●クラブレーシング 編集●ASCII

クルマをカラダで理解できる
カートで遊ぼう!

 8月2日に、栃木県のツインリンクもてぎで開催された「2020もてぎKART耐久フェスティバル“K-TAI”」、通称K-TAI(ケータイ)にドライバーとして参戦した。

先導車に続いてのローリングでのスタート。長時間の耐久なので、スタート直後の第一コーナーを責める必要はないため、混乱はほとんどない

 このイベントは簡単に言えば“レーシングカートの耐久レース”だ。カートのレースとしては非常に走行時間が長く、今年はコロナ禍の影響で、レース時間が5時間に短縮されたが、例年は7時間を走り続ける。そして、さらにすごいのは、ツインリンクもてぎの本コースを使うことだ。全長4.8㎞、最大直線が762mという、モトGPからSUPER GTなども開催される国際格式のコースを走る。これは、通常のカートに使うショートコースの全長に匹敵する。つまり、普通のカートに使われるコースの全長に近い、直線が長い本コースを走るのだ。だから、走行中の9割以上がアクセル全開。最高速度は時速120㎞程度だが、カートの場合、ドライバーの着座位置は地面から、わずか数センチ。体感速度は乗用車とは比較にならないほど速い。ツインリンクもてぎの名物コーナーであるダウンヒルストレートの先の直角コーナーは、延々と走り続けながらも、結局、最後まで恐怖感が失せることはなかった。

梅雨明けの炎天下のレースとなったが、走行中は意外に暑くはない。長いストレートは実質、体力を使わないので、意外とラクなのだ

 しかし、実際のところK-TAIに使われるマシンはレーシングカートとしてはエントリーレベルのものだ。搭載されるのは草刈り機などにも使われる4ストロークの汎用エンジンであり、全日本カートなどに使われる2ストローク・エンジンと比較すればローパワー。だがその分、コストは安い。パワーがないだけ、エンジンにもチェーンにも車体にも優しく、メンテナンス費用が安くすむ。燃料も混合ガソリンではなく、通常のものが使える。

ホンダの汎用4ストローク・エンジンGX270を搭載。フレームはイタリアのビレル、タイヤは横浜ゴムのカート用。タイヤはドライとウェットを1セットずつ用意した

レーシングスーツはカート専用のものを使用。ヘルメット、グローブ。シューズは4輪レースと同じ規格のものを使う。プロテクターとネックガードを装着するのが特徴だ

 つまり、K-TAIはレーシングカートとしては、ありえないほど広いコースを使って延々と、しかもローコストで楽しめるイベントなのだ。そのため例年は120近いチームが参加し、本コースのピットが満杯になるほどの人気を集める。今年はコロナ禍ということもあったが、それでも82台のマシンがグリッドに並んだ。

 ちなみに、コロナ禍ということで、参加者は走行中以外のマスク着用が義務付けられた。梅雨明けの猛暑の中でのマスクは厳しかったが、それでもマスク着用のルールは守られていたように見えた。

ドライバーの数倍ものサポートメンバーが参加

 参戦を誘ってもらえたのは、自動車メディア業界の仲間もいるチームだ。チーム全体として3台のマシンを、それぞれ4~5名のドライバーで走らせる。マシンは自分たちでエンジンを搭載し、調整し、ゼッケンなども張り付ける。また、ドライバーだけでなくメカニックや監督など、ドライバー以上の数のサポート役のメンバーも参加している。

 実際に参加してみるとわかるのだが、レースはドライバーとマシンさえあれば良いわけではない。マシンを車検や給油に運ぶための人員も必要だ。どんなタイミングでピットインして、給油をするのかを考えて統括する監督、それを走っているドライバーに伝えるサインマンも必須となる。また、レース中はレストランに食事に行くこともできない。大所帯になればなるほど、食事などの準備も大ごとになって、それに専任するスタッフが欲しくなる。そんなサポートメンバーの汗に支えられて走る。これもレースのリアルな一面だろう。

1周ごとのタイムをコースサイドで記録してゆくサポートメンバー。ピットインなどの合図も彼ら・彼女らの仕事だ

マシンの調整から、トラブル時の対応まで、メカニック仕事は非常に多い。今回はプロのメカニックを中心になって、メンバー一同で手伝うというスタイルだった

 とはいえ、個人的なレースの内容は散々なものであった。まず、本番の前日になってエンジンが壊れていることが判明した。大会前の練習のときにチェーンが切れてしまって走行不能になっていたのだが、そこでエンジンがブローしていたことに気づかなかったのだ。慌ててあちこちに電話をして、代わりのエンジンをようやく借りることができた。

レース前日になってエンジンが壊れていることが判明し、慌てて知り合いにエンジンを借りて換装することに。作業は自分たちで行なうのだ

 載せるのがやっとだから、新エンジンでの試走はなし。燃費もパワー感も試すことなく、ぶっつけ本番で走ることになった。いきなり不安いっぱいのスタートである。

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