F1最高経営責任者のチェイス・キャリーが、2020年にF1を1レースも開催できない可能性も残されていると認めた。
新型コロナウイルス危機により2020年のF1はいまだ開幕することができず、本来史上最多の22戦で行われる予定だった今年のF1カレンダーもいったん白紙に戻されたに等しい状況となっている。
こうした中、F1オーナーのリバティ・メディアは7月からレースを開催する方向で調整を進めており、まずはオーストリアのレッドブルリンクにおいて2週連続で無観客レースを開催する可能性が高くなっているようだ。
■あらゆる可能性を探るF1
シーズン後半には再び観客がいる形でのレース実現できることを期待していると語ったキャリーは次のように付け加えた。
「あらゆる選択肢を探るため、我々は2020年のカレンダーに載っていなかったいくつかのサーキットも含め、すべてのプロモーターたちとの話し合いを行っているところだ」
とは言え、キャリーも今後F1レースが開催できるという「保証」はなく、わずかではあるとしつつも2020年に「1レースも開催できない可能性も残されている」と認めている。
しかし、F1がなんとかレースを開催しなくてはならない切実な問題を抱えているのも事実だ。
レースがまったく開催できないことにより、2020年の第一四半期だけでF1はすでに2億ドル(約210億円)もの損失を計上する状況だと伝えられている。
新型コロナウイルスにより世界中で大規模イベント開催が自粛されている中、F1関係者の中にはたとえ無観客であってもレースを開催できるならそうすべきだと考えている者が多いようだ。
■モンツァも無観客レースに前向き
こうした中、F1イタリアGPの開催地であるモンツァ・サーキットも本来の予定通り9月に無観客レースを開催する方向で準備を進めていることを明らかにしている。
イタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』によれば、モンツァでもレッドブルリンク同様に2週連続でのレース開催も視野に入れているという。
イタリアGPのプロモーターであるイタリア自動車クラブ会長のアンジェロ・スティッキ・ダミアーニは『Sky Sports 24(スカイ・スポーツ24)』に次のように語っている。
「水晶玉を持っているわけではないから9月初旬にどういう状況となっているかは分からない」
「緊急事態が収束していることを願っているし、奇跡が起きることを願っている。だが、現時点では無観客でのグランプリに備えているところだ」
■無観客レース最初の推進者はレッドブルのオーナー
伝えられるところによれば、レッドブルリンクで今年最初の無観客F1レース実現の可能性が高まっている背景には、サーキットのオーナーである世界的エナジー飲料メーカーの総帥であるディートリッヒ・マテシッツがそれを強力に後押ししているからだという。
スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールは、収益を度外視してレース実現を目指すマテシッツの姿勢は素晴らしいと賞賛している。
「それはF1にとって間違いなく前向きで、明確なメッセージだよ」
ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』にそう語ったスレールは次のように付け加えた。
「ディートリッヒ・マテシッツは大金を投じることになるわけだ。なぜなら主催者であるレッドブルは観客が来ることができなければ損失を出してしまうわけだからね。だから、これはもう感動ものだよ」
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May 08, 2020 at 06:44PM
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