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濃霧に阻まれた22年ぶりのレース、浮き彫りになった課題 【太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第3話】 - GENROQ Web(ゲンロク ウェブ)

ロータス カップ ジャパン 2020、第1戦インサイドレポート

さあ、いよいよ開幕だ。第1戦、第2戦は新型コロナウイルス感染症のため中止となって今回の第3戦菅生が初戦となる。

アマチュア・イベントは通常ワンデーレースで、練習・予選・決勝含めて1日で終わるの日程が多いのだが、ロータスカップはさすがJAF公認レースということもあり金曜から走行開始となる。開催地「スポーツランド菅生」は宮城県なので、張り切って木曜からサーキット入りした。

ところが、土曜日は悪天候で中止、日曜の決勝は霧による視界不良で中止。4日間も滞在したのにちゃんと走れたのは金曜と土曜の予選の僅かな時間のみ。あ~肩透かし、もっと走りたかったなあ~。

しかし、この4日間でいろいろな課題が見えてきたので、それをレポートしよう。

ロータス エキシージの走行シーン

新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたロータス カップ ジャパンだが、スポーツランド菅生を舞台に第1戦が開催された。ロータス エキシージSで競われるトップカテゴリーのクラス1に出場した太田哲也氏は、22年振りのレース本格参戦。本番当日は生憎の濃霧に祟られた。

秘めた自信、もろくも、崩れる

まずは今回のハイライトとなる予選だが、内心、結構イケるのではないかと思っていた。というのはボクは現役の時、菅生を得意としていたからだ。

もう30年以上前の話だが、当時のトップカテゴリーだったグラチャン(GC)に出場していた時、エマニュエル・ピロやジェフ・リースら多くの外国人と、星野・長谷見などのレジェンドドライバー達に交じって、日本人最年少だったボクが予選でフロントロー(2位)を立て続けに獲得したことがあった。

ボクのマシンは型落ちで、タイヤも当時圧倒的な速さで常に上位を独占したB社ではなく、しかも他のライバルよりもレース経験が圧倒的に浅かった。あれから30年以上が経つが、何となくイケる気がしていたのだった。しかし・・・。

ロータス カップ ジャパン 2020 第1戦

早朝から雨と霧が立ち込める中、間隙を縫って予選は行われた。視界不良とウェット路面にタイムは伸び悩んだが、それでも初参加でありながら全体で4位の1分46秒439を記録。

意外な予選結果(これが現実か・・・)

予選は霧混じりの雨。まだロータスと装着するヨコハマの「ADVAN A052」の特性を掴めているとは言えないが、現役の時から雨は得意で、予選アタックを終えピットに戻ってきたとき、他車との比較がないからわからないのだが、なんとなくうまく走れた気がして「もしかしたらポールポジションだったりして♪」なーんて思っていた。ところがピットで待ち受けているスタッフに笑顔がない。あれ、おかしいな・・・。ぜーんぜん、盛り上がっていないゾ。

結果は予選1位ではなく予選3位、ゲストドライバーを入れれば4番目。なぜだ! 担当編集Kは「最初なんだからいいじゃないですか」と慰めてくれたけど、自分としては期待外れだ。

ピット内の太田哲也氏

右足に残る後遺症を克服するため、グリーンのゴム紐「人工筋肉」を装着してレースに挑む。このゴム紐によってヒール&トウがやりやすくなったが、それでもエキシージSのレーシングスピードには追い付かないことが明らかになった。

戦略面と体力面の課題が浮き彫りに

反省点はいくつかある。まずは戦略面の課題。

ピットアウトのタイミングが悪く、クラス2の集団に入ってしまったこと。そのためニュータイヤのいちばん美味しいところを使えなかったこと。後から考えれば同じクラスの車両にくっついてそのままコースインすればよかった。つまり頭脳面で劣っていた。

そして体力面の課題。

いちばんの問題はマニュアルシフトに起因する。後遺症がある右足が、ロータスが求める素早さに反応できない。素早く動かそうとするとペダルを踏み間違えてしまう。

コクピットに収まる太田哲也氏

予選を終え、自分で感じた手応えほどの成果が上がらず意気消沈。しかし本戦が始まるまでの時間、積極的にほかの参加者に話を聞いて修正を試みる。

体力が落ちてバテやすく、視力にも問題発生

さらに今まで気づかなかった視力の問題も露になった。液晶のメーターを見て、また前を見た瞬間、わずかだが焦点が合うのに遅れが生じるのだ。菅生の最終は4速アクセル全開で踏んでいく高速コーナーだが、進入の際、一瞬コースがダブって見える。いったいどれが本物なんだ! という感じ。笑い事じゃないけど笑ってしまう。

体力も落ちていることがはっきりした。バテやすいのだ。熱傷の後遺症で汗が身体の半分の面積しかかけないせいもあるとは言え、現役のときはグループCなどで「コクピットサウナ状態」のマシンをドライブしてたくせにその片鱗はまったくなく、降りてヘルメットを脱ぐのももどかしくピットの床に這いつくばってゼーゼーハーハー。それが毎回。

それでも運転中は集中しているからあまり気づかない分、余計に降りた時の心臓の高鳴りに驚いてしまう。ところが同じ参加者はどうしてるかというと、ケロッとして談笑してたりする。スゲエな、さすが40代、50代の若者は。

ピット内の太田哲也氏

濃霧が立ち込めるコースの様子をモニターで観察。現役時代に得意としていた菅生だけに、天候が恨めしい。

水たまりに落ちた!

このもどかしい感覚は、昔のように勢いよく水たまりを飛び越えようとしたが向こう側まで届かず、水たまりにバシャーンと落ちた・・・みたいな、気持ちに体がついていかないギャップを強く感じた。

それに予選中にスピンしてしまったこともショックだ。そもそも予選は全神経を集中させる。現役時代、攻めすぎてオーバーランすることはあっても、スピンはなかったなあ~。速いマシンは挙動も速い。それに体の反射がついていってないということか・・・。

というわけで、内に秘めた自信は吹っ飛んだ。今回、課題がたくさん見えてきた。体力とともに、今まで日常や普段の運転では気づかなかったけれど、実は老化が進んでいたのだ。それをなんとか時計を巻き戻すのだ。もっと負荷をかけてトレーニングしよう。脳トレもやった方がいいのか。

ロータス エキシージの走行シーン

現状で不足している部分はマシンへのモディファイなどでカバーしていく予定。もちろん、衰えた体力を取り戻すためのトレーニングも必須だ。

ハズキルーペが必要かも・・・

そうだ、モノにも頼ろう、モノだモノ。チームにはマシンの改造を依頼した。それはシフトアップの時に液晶メーターを見なくて済むように、レヴリミットでピカッと光るライトをつけてもらうのだ(ちっこいやつ)。

あとないかな。液晶の表示が小さいのでハズキルーペを張り付けるとか。それよりハズキルーペを掛けたらどうなんだろう。それだったら掛けたことはないけど、遠近両用メガネとかは効果はないのだろうか・・・。情報求ム。

何はともあれ、これだけ課題が見えたのだから、あとは成長、このどん底から上がるしかない(はずだ)

ADVAN A052

今回、ロータス カップ ジャパンにはヨコハマの「ADVAN A052」を装着して参戦することになった。1周目から手応えのあるグリップを得てタイヤの戦闘力が申し分ないことを確認した。

ヨコハマ ADVAN A052インプレッション

最後に今回が初体験のADVAN A052にも触れておきたい。

予選では新品を履いたのだが、ハイパワーミッドシップで雨の中を新品のタイヤでいきなりアタックするのは「ちょっと怖いな」という気持ちがあった。でも1周目からハンドルにグリップしている手ごたえが伝わってきて、そして実際にすごくグリップするので安心できた。昔のタイヤはウエットでは温まるまでツルツル滑ったのと雲泥の差だナ。

ちなみに雨の日の空気圧は高めにした方がよいというのが最近のトレンドのようだが、ロータス&A052の場合はどうなのか。路面状態で最適な空気圧を探すことも、今後の研究課題のひとつだ。

REPORT/太田哲也(Tetsuya OTA)

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)、GENROQ Web編集部

COOPERATION:ガレージシマヤ、ヨコハマタイヤ

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・ロータス カップ ジャパン2020開幕! 第1戦スポーツランドSUGO、濃霧のため決勝は中止に

【関連リンク】

・太田哲也 オフィシャルサイト

https://otacarlabo.jp/

・ガレージシマヤ 公式サイト

https://garageshimaya.com

・ヨコハマタイヤ

https://www.y-yokohama.com/product/tire/

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September 11, 2020 at 09:55AM
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