今年第2回目開催を迎えたモンヴァントゥー・チャレンジ (UCI1.1)は、その名の通りツール・ド・フランスで幾多の名勝負を生み出してきたモンヴァントゥーへと登りつめるワンデーレース。開催2年目ながら“南仏の巨人”あるいは"魔の山"と呼ばれる名峰を舞台にしていることで注目を集め、特に今年はシーズン再開直後というタイミングも重なって強豪勢が多数エントリーし、一層の注目を集めた。
ヴァントゥー北西の街ヴェゾン=ラ=ロメーヌをスタート、山裾の渓谷に沿って時計回りにヴァントゥーを半周。レース中盤を過ぎて南側から標高1417mのシャレーレイナードまで登ってから一度下山し、麓からは1度目と同じルートをなぞって強風吹き付ける、標高1891mの頂上を目指す。
シャレーレイナードを目指す1回目の登坂は距離13.2km/平均勾配8%で、頂上を目指す2回目は距離19.4km/平均勾配7.9%。距離179kmながら獲得標高4000mを叩き出す完全ピュアクライマー向けレースであり、ワールドチーム数が6のみであるにも関わらずスタートリストには豪華な顔ぶれが揃った。
ゼッケン1を付けるのは昨年大会覇者のヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス・ソルシオンクレディ)で、ギヨーム・マルタン(フランス)らワレン・バルギルを除く一軍メンバーを伴ってチームとして連覇を目指す。
2月のツール・ド・ラ・プロヴァンスのクイーンステージで、シャレーレイナードフィニッシュを制したナイロ・キンタナ(コロンビア、チーム アルケア・サムシック)は良いイメージを結果に繋げられるか。ルート・ド・オクシタニー連戦のリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)はロンバルドを走ったジュリオ・チッコーネ(イタリア)とタッグを組む。さらにミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、オクシタニーでベルナルに唯一喰らい付いたアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)もラインナップされるほか、ここ最近精彩を欠いているファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)のコンディションも気になるところだ。
また、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンスからは別府史之、中根英登、そして岡篤志と所属する日本人選手全員が顔を揃えた。エースを務めるのは好調の新鋭クライマー、レミ・ロシャス(フランス)だ。
(当然ながら)スプリンター勢皆無のこの日、逃げたのはジョセ・ゴンサルベス(スペイン、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)ら8名。トレック・セガフレードやアスタナがメイン集団をコントロールし、逃げから飛び出したガリコイツ・ブラボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)一人を追う形で1度目のヴァントゥーを終えた。
頂上まで登りつめる2度目のヴァントゥーに入るとブラボは捕まり、40名程度に減っていたメイン集団からはピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタック。暫く先頭を走ったラトゥールだがペースを維持する集団との差は広がらず、これを見たマルタンが単独で飛び出し合流する。脚を使っていたラトゥールは千切れ、マルタンはメイン集団から20秒差でシャレーレイナード(残り5.5km)を通過した。
ハイペースを刻むメイン集団から飛び出したのはウラソフだった。「ライバルたちが疲れているように見えたのでアタック。後ろを振り返ったら誰もついて来ていなかったので一気にモチベーションが上がった」と言うウラソフは一気にマルタンを捕まえ、残り2.8km地点で独走に持ち込む。後ろからはキンタナを千切ったポートが差を縮めたものの、その動きを見たウラソフは更なるペースアップを図った。
"禿げ山"を象徴する風景の中ハイペースを刻み、ポートの合流を拒んだウラソフ。何度も後ろを振り返って距離を確認したロシア王者は最後の180度コーナーを周り、独走でフィニッシュ。24歳の新鋭クライマーがヴァントゥーで大きな勝利を掴んだ。
「この有名な山で勝てたことは最高に嬉しい。ファンタスティックだ!アスタナのチームメイトは素晴らしい働きをしてくれたし、最後は自分のベストを尽くした。素晴らしい勝利に満足している。脚のコンディションも絶好調だったんだ。チームメイトとスポンサーに感謝したい」と話すウラソフは、ガスプロム・ルスヴェロから今年アスタナに移籍昇格した24歳。昨年のロシア選手権でプロ初勝利を挙げ、プロヴァンスのシャレーレイナードフィニッシュではアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)をアシストしながらステージ4位に食い込んでいたが、エースとして臨んだ今回、各チームのグランツールエースを相手にキャリア最大の勝利を掴むこととなった。
アスタナに所属するロシア王者のアレクサンドル・ウラソフ。今後名前を覚えて損は無いだろう。また、完走70名のレースで、中根は67位フィニッシュ。「1周目の上り麓からアスタナ勢のコントロールにより、常に350wオーバー。。粘るが1周目の上りの頂上までラスト4kのとこでドロップ。その瞬間に脚の痙攣。強烈にキツかった。OTL(タイムアウト)かと思ったけど完走。とにかく、強烈にキツかった」と自身のTwitterに綴っている。別府と岡は途中でレースを降りている。
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August 07, 2020 at 07:20AM
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“南仏の巨人”を2度登るワンデーレース ポートを振り切りウラソフ勝利 - モンヴァントゥー・チャレンジ2020 - cyclowired(シクロワイアード)
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