参加したトッププロライダーは13名、ロンドで最も盛り上がる石畳セクションが点在する終盤約32kmのコースプロフィールを再現し、仮想空間のライダー達のジャージもそれぞれのチームのデザインが反映された。インドアトレーナーは各所属チームそれぞれのスポンサー各社が用意し、オンラインアプリはBKOOLが提供、選手達はそれぞれの自宅からレースに参加した。
筆者が観戦したメディアは主催者Flanders Classicsの公式YouTubeチャンネル。参加選手は以下の通り。
オリバー・ナーセン (ベルギー、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)
グレッグ・ファンアーヴェルマート (ベルギー、CCCチーム)
レムコ・エヴェネプール (ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
イヴ・ランパールト (ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ゼネク・スティバル (チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
アルベルト・ベッティオル (イタリア、EFプロサイクリング)
ジャスパー・ストゥイヴェン (ベルギー、トレック・セガフレード)
ティム・ウェレンス (ベルギー、ロット・スーダル)
トーマス・デヘント (ベルギー、ロット・スーダル)
ワウト・ファンアールト (ベルギー、チーム ユンボ・ヴィズマ)
マイク・テウニッセン (オランダ、チーム ユンボ・ヴィズマ)
マイケル・マシューズ (オーストラリア、チーム サンウェブ)
ニコラス・ロッシュ (アイルランド、チーム サンウェブ)
レース序盤はこれがモニュメント初参戦…と言って良いのかはわからないが、現実にもそうなるはずだったであろうエヴェネプールが敢然とアタック。その後を追った昨年のロンド覇者ベッティオルとオウデ・クワレモントへの坂の入り口まで先頭で展開した。その頂上へ向かう途中、先に遅れたのはベッティオル。後続集団に飲み込まれ、そのまま後退してしまった。
コースは画像の通り、常に片側1車線の綺麗な舗装路で展開され、本来あるはずの場所に石畳が登場しなかったり、コース幅の変化がなかったりと、物足りない点があった。周囲の風景も、PCやサーバーの処理能力の限界もあるだろうが、まだまだ物寂しい。
オウデクワレモントなどの丘の頂上にあるバルーンゲート下の路上には、一応その名称が刻まれてはいたため、高低差を示したコース図と照合しながら、かろうじて場所を把握する事が出来た。この辺りは今後に続くバーチャルレースでも課題となり、改善が期待されるところだ。
レースに戻ろう。その中盤のコース途中でマイケル・マシューズが完全にストップ、リタイヤとなった。インドアトレーナーに乗った本人の映像では、画面外から聴こえた子供の声にマシューズが反応する姿も見られ、レース中にも関わらずどこか微笑ましい場面となった。
レースは難所パテルベルクを迎えると、序盤を引っ張ったエヴェネプールが脱落。その坂でペースを上げたヴァンアーヴェルマートがレースをリード、後続との差を開いていく。その出力は400W超、時に500Wを超える場面も。追う3名の平均的なワット数は330〜360あたりを推移。数値の上でも調子の差が見てとれるのは面白い。残り7kmを切った時の差は7秒ほど、距離にして80m前後の差をつけた。
ヴァンアーヴェルマートは独走を続け、その後も徐々に後続との差を広げていく。追走の3名からは、ナーセンが2.5kmを過ぎたあたりで鋭いアタックを繰り出した。この時点で18秒差をつけているヴァンアーヴェルマートとの差を縮めるかに思えたが、遅れて反応したロッシュとデヘントが追いつき、再び3名は1つとなってゴールを目指す。
先頭を行くヴァンアーヴェルマートは、残り1kmで後続に20秒差をつけ、その差を保ったままゴールラインを切り、世界初のバーチャルモニュメントレースの栄冠を手にした。2位はオリバー・ナーセン、わずかに離れた3位にニコラス・ロッシュ、4位は最後にこの2名から遅れを喫したトーマス・デヘントが勝者から50秒遅れでゴールラインを跨いだ。
プロライダー達によるバーチャルレースを終えて、その課題と可能性を考える
YouTubeにおける中継開始から終了まではの時間は63分。約1時間と言う尺は、観ている側にも丁度良い長さに感じられた。英語実況もプロによるもので、この仮想空間のレースに現実の臨場感を加えていた。
何よりクラッシュの心配がないのはライダー達にとっては良いことだ。一方で、今のところ現実に近い変化に富んだコースや風向き、あるいは集団内における駆け引きなど、本来のロードレースの魅力とも言える要素を欠いていることもあり、長時間の観戦にはまだ不向きだ。実写画面の風景が副画面として脇に出ていても、Zwiftに追随するトレーニングアプリのBKOOLの風景の再現性が乏しかったこともあるだろう。
しかしそれとは別にプロライダー達の出力や距離、時間の差がリアルタイムかつ仔細に表示される点は、レースに別のアクセントを加えており、興味を引きつける存在となり得ていた。レース後には各選手の子供が顔を出し、本人の周りではしゃいでいる姿も見られ、今の厳しい世界情勢を思うと、ひと時の癒やしを与えてくれたように思う。
インドアトレーナーと仮想空間を繋げ、そこにプロライダーを呼んで世界中のファンと走るライドイベントはこれまでも開催されているが、現実のプロレースさながらの演出が入ったレースは、おそらくこのDe Ronde 2020が初めてだろう。
前述の通り、全体的に急仕上げは否めず課題は散見されたが、今年長らく抑えられていたロードレースへの情熱が、筆者、あるいは多くの観戦者の中にほのかに灯ったことは間違いない。いくつかの問題は、技術の進歩と経験によって改善されていくだろう。この大変な騒動の中で、主催者、パートナー、チームと選手達が結束し、このような画期的な催しが行われたことに、まずは大きな拍手を贈りたい。
こうした実際のコースを切り取って行われるプロオンリーのバーチャルレースは、現実のレースがない今だからこそとも言える。しかし、インドアトレーナーの魅力を広く売り込みたいいくつかの企業にとっては、有意義なイベントが1つ加わったと言えそうだ。新型コロナ禍が去った後の世界でも、オフシーズンの新たな呼び物となるかもしれない。
ロードレースはいつも我々を夢中にさせてくれる。De Ronde 2020はそれを改めて感じさせてくれるバーチャルレースだった。一日も早くこの見えない敵との戦いが終わり、現実世界にロードレースの、スポーツの熱狂が戻ることを願いたい。
text: Yuichiro Hosoda
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April 06, 2020 at 09:43AM
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ロンド代替レース『De Ronde 2020』はヴァンアーヴェルマートが制す 仮想空間に戻ってきたレースの熱狂とその実際 - デ・ロンド2020ロックダウンエディション - cyclowired(シクロワイアード)
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